Cafe & Bar ROCO
書きたいことを徒然なるままに…
プロフィール

龍野ゆうき

Author:龍野ゆうき
複数の小説サイトで執筆活動をしています。こちらでは小説の番外編や小ネタなどを置いています。創作意欲の発散場所。または、ネタ帳とも言う。(笑)


最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR

月だけが知っている 後編
『月だけが知っている 中編』の続き
【プリズム!】パラレル?、没案?
[登場人物]夏樹、直純




夏樹はフラフラと自宅のアパートまでの道のりを歩いていた。
頭がガンガンする。

(何で『好き』な気持ちだけじゃダメなんだろう…)

自分が雅耶を好きな気持ちは変わらないのに。
本当は、それだけで十分な筈なのに…。
なのに、何故…こんなにも胸が痛むのだろう?
(早乙女さんは、女の自分から見ても本当に魅力的で…)
到底、かなわない。
自分は、あんな風にはなれない。
未だに中途半端で、男勝りで、気も利かなくて…。
どうしたって、劣等感しか感じなくて。
(当たり前だ。お前はこの前まで『冬樹』だったんだから…)
雅耶だって、あんな人に好意を向けられたら嬉しいに決まってる。
どう見たって、お似合いの二人。

(胸が、痛くて苦しくて…)

こんな自分は嫌なのに。
こんな弱い自分なんて、いらないのに。

何故か涙が止まらなかった。



直純は夏樹の姿を探していた。
店を出て、わりとすぐ追い掛けた筈なのに既に夏樹の姿は周辺にはなく。
店のある駅前裏通りを抜け、既に住宅地へと入って来てしまった。
静かな住宅街は、人通りも少ない。
月明かりに照らされて電柱の影が寂し気な道路に伸びていた。
その先の薄暗い場所に、人影が見えた。
電柱に手をついて俯いている、後ろ姿。

「夏樹…?」
直純は傍へと駆け寄ると、その細い肩に手を掛けた。
途端に、ビクリ…と震える身体。
「…大丈夫か?どこか具合が悪いのか?」
優しくその背を支えるようにすると。

「…なお、ずみ…せんせ…?」

ぼろぼろと涙で頬を濡らす夏樹がそこにはいた。
肩を震わせて明らかに泣いていたのだが、夏樹はゴシゴシと涙を拭うと。
「どう、したんですか?こんな所まで…。私、何か…忘れ物でも…?」
まるで口調は至って普通に、何事もなかったかのように振る舞う。
だが、それでもこらえきれない涙がまた一筋頬を伝っていった。
「夏樹…」
「すっ…すみませんっ。ちょ…っと、…っ…私、」
顔を伏せて涙を必死に抑えようとする夏樹。
その小さく震える肩を見ていたら、たまらなく切なくなって、直純は自らの拳を握りしめた。
そして…。

「夏樹」
「…っ…?」

ふわりと…自らの腕の中へと、その身を抱き締めた。
「…夏樹は何もかも我慢し過ぎだよ」
「……っ…」
「夏樹がまだ『冬樹』でいた時から、俺はお前が夏樹だと気付いてた。でもお前が、すごく一生懸命だったから敢えて気付かない振りをして見守ることに決めたんだ。でもな、夏樹。誰にも頼らないのが『強さ』じゃないんだよ。弱い所は、人間あって当たり前。それを認めることも大切なんだ」
「…先生…」
「それに、たまには誰かに頼ったって罰は当たらないよ。俺の胸じゃ頼りないかもしれないけど、お前を支えること位は出来るよ」
「…直純せんせ…っ…」

震えながら再び泣き出した夏樹を。
直純は愛し気にその腕の中に優しく抱き締めるのだった。



コレ没ネタであり、架空のお話なので!(そこ重要!!)
こんなのも良いなぁとか、ちょっと思って書いちゃった系。(笑)
ある意味、問題作デスかっ!?
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する