Cafe & Bar ROCO
書きたいことを徒然なるままに…
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龍野ゆうき

Author:龍野ゆうき
複数の小説サイトで執筆活動をしています。こちらでは小説の番外編や小ネタなどを置いています。創作意欲の発散場所。または、ネタ帳とも言う。(笑)


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月だけが知っている 中編

『月だけが知っている 前編』の続き
【プリズム!】パラレル?、没案?
[登場人物]夏樹、直純、雅耶、薫




フラフラとお店を後にした夏樹を直純は心配げに見送った。

今日の夏樹は微熱があるようだった。
いつもと様子がおかしいので額に手を当ててみたのだが明らかに自分と比べて熱かったのだ。
だが、それ以上に何処か思い詰めた顔をしていたので大事をとって上がらせた。
でも、夏樹の不調は今日に始まったことではない。
この数日間で日に日に体調を崩していってる…直純の目にはそう映っていた。
(今日は、いつになく調子悪そうだった…)
一人で帰れるだろうか?それさえ、心配になる程に…。
だが、客席の雅耶を見ても夏樹が上がったことさえ気付いていないのか、隣の席の薫と楽しそうに会話している。

(雅耶の奴、いったい何をやってるんだ…)
誰よりも彼女のことを大切に思っているんじゃなかったのか?と問いつめてやりたくなる。
ミーティングに参加するのは仕方のないことだ。
だが、夏樹の働いているこの店で毎日のようにこんな状態を見せつけるのは、いかがなものだろうか…と思う。
明らかに無理している夏樹を見ていると、己の中に何とも言えない気持ちがわいてくるのを直純は感じていた。
(いい加減、夏樹の気持ちに気付いてやらないと可哀想だぞ。雅耶…)
お前が、そんなことだと…俺は……。

どうしても夏樹のことが心配になった直純は仁志に相談を持ち掛けた。
「なぁ、少しだけ席を外しても良いかな?」
明らかに夏樹を心配しての言葉と受け取った仁志は、
「今は空いてるし、もうピークも過ぎた。心配なんだろう?…行ってやれよ」
何もかもお見通しの友人の言葉に。
直純はニッコリと笑うと。
「サンキュ」
と、すぐに店を出て夏樹のあとを追い掛けるのだった。



ありゃー、また続いてしまいました。
終わらなかったので中編にしちゃった。
夏樹を心配する直純。
次回は後編…で終わるといいな。(苦笑)
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月だけが知っている 前編
【プリズム!】パラレル?、没案?
[登場人物]野崎夏樹、中山直純、久賀雅耶、早乙女薫




合同イベントの実行委員になった雅耶は、毎日ミーティングに大忙しだった。

『Cafe & Bar ROCO 』の一角を陣取って、両校の生徒たちが数人ずつ集まって話に花を咲かせていた。
この光景は今日のみならず、このところ連日続いている。
皆で集まる場所を探していた所、この店にしたらどうかと薫が提案したのだそうだ。

「直純先生、何かすみません。今日もあの一角占領しちゃってて…」
雅耶が気を使ってカウンター越しに挨拶に来た。
そんな雅耶に直純は笑顔を見せると、
「いや、あくまでお客様だからな。いつもご贔屓にありがとうございます。…だよ」
と言った。
その横に他のテーブルからグラス類を下げてきた夏樹が来たのを見て、雅耶がさりげなく声を掛ける。
店に入った時は薫に手を引かれ、夏樹とろくに挨拶を交わせなかったから。
「夏樹、元気か?毎日バイトお疲れさまなっ」
そう、声を掛けたその時だった。
「もお、久賀くん!何やってるの?早く、こっちこっち!」雅耶をすっかりお気に入りの薫が呼びに来る。
「薫先輩…」
「久賀くんがまとめてくれないと話が進まないのよ」
そうして、何だかんだと手を引かれて行ってしまう雅耶。
(…雅耶)
その後ろ姿を無言で見送った夏樹は、すぐに気持ちを切り替えるように仕事に戻るのだった。
そんな夏樹の様子を、直純は複雑な思いで見つめていた。


(…何だろ、調子悪いな…)
夏樹は仕事をこなしながらも、何処か己の不調を感じていた。
少し熱っぽいのかも知れない。
(でも、これ位大丈夫…)
そう思っていた夏樹だったが、普段と違う夏樹の様子に気付いた直純が声を掛け『今日はバイトを切り上げるように』との店長命令が下った。

(…ホントは、不調の原因なんて分かってる…) 

更衣室兼事務所から出てきた夏樹は、ある一角を見つめた。
(…雅耶…)
早乙女さんと仲良く笑い合っている後ろ姿。
これ以上、見ていたくなかった。
(そんなのが原因で仕事を続けられないとか。駄目だろ…。こんなじゃ、直純先生に帰れと言われても仕方ない)
夏樹は苦し気に目を伏せた。
そして、「お先に失礼します」と礼をしながら手短に挨拶を済ませると、すぐに店を後にした。
夏樹がバイトを切り上げて店を出たことに、雅耶は気付かなかったのだった。



次回に続きます。
この流れを本編でも少しだけ考えていたのですが没になりました。
薫の積極的なアプローチに流される雅耶とかね?
雅耶がイヤな奴になっちゃいそうだったので没になりました。(笑)
(本編では、夏樹一筋な雅耶くんです♪)
この後、続く話では、それ以外の要素も出てきたりして…?



長瀬君の『質問コーナー』 vol.1
【ツインクロス】【プリズム!】番外編、パラレル?
[登場人物]長瀬、夏樹、冬樹、力



長「皆さま、こんばんは!『ツインクロス』『プリズム!』両作品の盛り上げ担当役、長瀬クンでーすっ。今回、新コーナーを担当させていただくことになりましたー!ヨロシクお願いしまっす!そして、第一回の栄えあるゲストはっ!」
夏「えーと…。野崎夏樹です、よろしくお願いします」
長「は~い♪夏樹ちゃん、ヨロシクねん」
夏「ねえ、長瀬。このコーナーって、どういうものなの?」
長「ん?知らない」
夏「は…?」
長「なんかね、自由にやって良いって聞いてるのよね」
夏「そうなの…?ひょっとしてネタ切れ…」
長「あらー夏樹ちゃんっ!それを言ってはダメよっ!確かに適当さ加減は拭えないけどねぇ」
夏「あ…分かってはいるんだ?」
長「んー、まぁ。でもね、このコーナーは物語で語られなかった色々な設定とかを質問形式でお教えしちゃおうかなって企みがあったりするのですよー。結構面白そうでしょ?」
夏「え…。でも、それって誰も知りたくないかも知れないよ?そんなんで続けられるの?」
長「ヤダー。夏樹ちゃんたら、悲しいこと言わないの!一応ね、質問が届いてるのよん♪読んで、読んでっ♪」
夏「えーっ?私が読むの?えーと…。ペンネームC.Kさんから…。『夏樹さんと冬樹くんのファースト・キスはいつですか?』…なにこれ…」
長「やーん!最初からキワドイ質問っ!」
夏「際どいっていうか、失礼じゃね?っていうか、このペンネーム…もしかして…」
長「あ、夏樹ちゃん怒ってる?言葉使いが怖くなってるよ…」
夏「怪しいっ!こんなの答えるに値しない!却下!」
長「ええっ?折角の記念すべき第一回なのに、それは困るよー。ファースト・キスって…神岡に奪われちゃったっていうアレでしょ?もう既にストーリー中に出て来てる話なんだし、今更でしょう。気楽に気楽にー」
夏「だからこそ、怪しいんじゃん。今更こんな質問…。それも何でふゆちゃんまで…」

?「別に僕は平気だよ?」

長「あら、冬樹くん。いらっしゃい!」
夏「ええっ?ふゆちゃんっ??」
冬「こんにちはー。僕のファースト・キスは7歳…だったかな?」
夏「へっ?」
長「なになにっ?問題発言っ!それってお相手は誰なの?」
冬「ん?九十九[つくも]さんだよ。僕が島に流れ着いた時に、人工呼吸で命を助けて貰ったんだ」
夏「……っ…!?」
長「ちょっと…。あのね、冬樹くん。それって立派な人命救助じゃない」
冬「ははは。そうだね」
長「ははは…って。もぉ、天然なのか、狙ってるのか…」
冬「…ね、これでなっちゃんの話から上手くそれたでしょう?」←ひそひそ
夏「え…もしかして、そのためにふゆちゃん…」←じーん…
長「や。あのね、全部聞こえちゃってるからね?でもまぁ、この質問はこれでいいかー。もう、おしまいで…」

?「よくなーーーーいっ!!」

夏「ち…力っ!!」
長「あれっ?神岡っ?」
力「折角質問出したのに、ちゃんと答えてなーーい!!これじゃあ、俺が奪った夏樹のファースト・キスが、本物の夏樹だったのか、夏樹の振りした冬樹だったのか、ハッキリ分からないじゃないかーーーっ!!」
冬「え?僕…?」
長「おいおい、何の話してんだ?神岡…」

夏「…お前…。まだ、そんなこと言ってんのか?力…」

力「…ヒィッ!!」←青ざめ

夏「あの腹パンチ一発くらいじゃ分からなかったっていうんなら…。いっぺんシメてやろうじゃないかっ!!」
力「わーーーーっ!!夏樹っ!!じょっ…じょうだんだよっ!!冗談っ!ごめんてっ!!」
夏「問答無用っ!!」

長「あらら…。最後はバタバタね…。失礼しましたーー。また、第二回やるかもですよー。皆さまの質問もお待ちしております!それでは、まったねーーー♪」



っていう、手抜き。(笑)


ライバルは…
【ツインクロス】【プリズム!】後日談、番外編
[登場人物]夏樹、雅耶、冬樹




「二人とも凄い気迫だねっ」

夏樹が圧倒されながらも感心するように手を叩いて言った。
「本気で戦ったら良い勝負なんじゃない?」
その言葉に息を整えていた冬樹と雅耶が笑いながら言った。
「いや、段持ちの雅耶には敵わないよ」
「なーに、謙遜するなよ。冬樹の方が実戦で経験積んでるだろ?敵わないって」



並木と仕事を共にしている冬樹が、時々野崎の家に帰るようになったある日曜日のこと。
珍しく偶然休みが重なった夏樹と冬樹と雅耶の三人は野崎の家のリビングで会話に花を咲かせていた。 

冬樹と再会した時の話などを振り返っているうちに、流れから格闘技や空手の話になり、何故か雅耶と冬樹で組手をしてみようということになった。
そして庭に出た雅耶と冬樹の二人をリビングから見ていた夏樹がこぼした言葉が文頭のアレである。


「ふゆちゃんは、九十九[つくも]さんが師匠なんでしょう?凄いね。その格闘術は空手なの?」
「僕の場合はわりとまぜこぜだよ。雅耶のは正統派だよね。やっぱり全然違うもの。形が綺麗だよね」
「そうかな?まあ、お前達がいなくなってからもずっと基本からみっちりやって来たけどなぁ」

お互いの力を認めながら語る二人を、夏樹は微笑ましそうに見ていた。
やはり、見せ掛けだけだった自分とは違い二人は強くて逞しくて、何より格好いいと思った。
「良いなぁ。私も強くなりたい」
思わずこぼした呟きに、ぎょっとした二人から速攻ツッコミが入る。

「おいおい、夏樹はもう良いよっ。これ以上強くなってどうすんだって」
「そうだよ、なっちゃん。なっちゃんは女の子なんだから…」
「えー。だって、女だって強い方が良いよ。何かあったときの為にはさ。自分の身は自分である程度守れないと…。二人だって強くなる為に沢山鍛えたんでしょう?何か目標とかってあったりしたの?」

その何気ない夏樹の言葉に。
雅耶と冬樹は顔を見合わせると。
それぞれ同時に口を開いた。

「「打倒!直純先生!!」」

「…かな?」
「…だなっ」

二人から思ってもみなかった名前が出て来て、夏樹は「へぇー」と感心するのだった。



前にこちらで書いた『あの子の好きなひと』の延長線上にあるお話って感じで。
夏樹がカッコイイと言った直純に、ずっとライバル心を燃やしていた二人…とかね。(笑)
日付が変わるだいぶ前に書き始めたのに何だかんだ入って遅くなっちゃった。(泣)
このオチない文にどれだけ時間掛けてるんだか…。
毎日更新するのは夢のまた夢ですな~

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続・刹那の憎悪
刹那の憎悪の続編
【ツインクロス】【プリズム!】後日談。番外編
[登場人物]夏樹、唯花



「嬢ちゃん、悪いがちょっと顔貸してもらおうか」

夏樹が一人で歩いていると路地の横から数名の柄の悪い連中が一斉に出て来て取り囲まれた。
声を掛けてきたゴツい男が多分、その中のボス的存在の奴だと夏樹にはすぐに判った。
だが、どうしても絡まれる心当たりがない。

(見たこともない連中だな。年齢も少し上っぽいかな?)
明らかに高校生ではない貫禄の者もいる。
(…絶対知らない奴等だ。何でだろう?) 

夏樹が冷静に取り囲んでいる面子を伺いながら考えていると。
「ある女に頼まれたんだ。少し位乱暴にしても構わないから連れてこいと、な。だが、声を上げたりせずに素直に言うことを聞きさえすれば、とりあえず手荒な真似はしない」
その男が有無を言わせぬ眼力で夏樹を見やった。

「…女?」

尚更、心当たりがない。
「人違い…とかでは?」
とりあえず、穏やかに聞き返すと。
「いや、アンタだよ」
と、逃げられないように腕をガッシリと掴まれた。


不穏な空気を感じながらも、夏樹はとりあえず大人しく連れられて行った。

(こんな連中に命令出来る女なんて…。いったい誰なんだろう?)
どうしても分からなかった。
『冬樹』であった頃ならいざ知らず…。
そもそも『夏樹』として関わった人物など、未だ僅か数える程しかいないのだから。
(考えられるのは…。高校?か?) 
自分が知らなくても女子高に通っている以上、学校には確かに女が大勢いるが。
(でも別に目立たず大人しくしてるし…。いや、そうでもないか…)
自信がなくなってきた。
だが、とりあえず会ってみないことには分からない…と、夏樹は腹を括った。


「例の女、連れて来たぜ」
「そう。ありがと」
小さな部屋で一人待っていた女、唯花は振り返ると鮮やかに笑った。
「どうだった?少しは怯えて泣いたりした?」
「いや…。あの女、相当肝据わってるぞ。俺等が出て行っても動揺すらろくに見せねぇ」
実際、只者じゃない。見た目通りのただの可憐な少女ではないようだ。
男はそう思っていたが、特に何も言わなかった。
「そう。つまらない子。少しは泣き叫んだり怯えたりすれば、こちらの気も晴れるのに…」
唯花は口を歪めて小さく笑うと、立ち上がった。



あ、続いちゃった。
それに日付変わっちゃったし。(泣)

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あの子の好きなひと 後編
【ツインクロス】過去、幼少期。番外編
[登場人物]冬樹、雅耶、夏樹



夏樹のことが好きだという雅耶と、実際夏樹は誰のことが好きかという話になった。

「なっちゃんに聞いてみた方が早いんじゃない?」
「いや、まぁそうなんだけどさ…。すごく知りたいけど、コワイっていうか…」
「うーん…」
好きな人がいない冬樹でも、その気持ちは分かる気がした。
冬樹は「なるほど」…と頷いた。
「でもさ、もしなつきに聞いてみても『ふゆちゃん!』ってこたえそうでイヤなんだよなー」
「…えっ?」
拗ねるようにこちらを見てくる雅耶に冬樹は驚きの表情を見せた。
「兄妹なんだから、それはふつうだろ?でも、まさやが言ってるのは、そういう好きじゃないでしょ?」
「そうだけどー。本気でそう言いそうなんだもん。おまえたち、本当に仲良すぎるしー」
恨めしそうに見てくる雅耶に、冬樹は苦笑を浮かべた。

実際、そう言われるのは悪い気がしない。
冬樹は本当に夏樹のことが好きだったし、夏樹がそう言ってくれたら、きっとこの上なく嬉しい筈だ。
でも、それは雅耶にしても言えることだろう。
自分たちは、いつだって兄妹のように三人でいたのだから。

「でも、それ言ったらなっちゃんは、まさやのことだってぜったい好きだよ」
フォローの気持ちも勿論あるが、本当にそう思ったので素直に冬樹は言った。
「…そうかな?」
「そうだよ」
少しだけ機嫌が直った雅耶に、冬樹は笑顔を浮かべた。
その時。

「ねー、二人でなに話してるの?」

噂の張本人。夏樹がやって来た。
「あ、なっちゃん」
「わっ…なつき!」



「え?すきなひと?」

突然の質問に、夏樹は首を傾げた。
目の前でわたわたしてる変な雅耶と、にこにこ顔の冬樹。
二人の顔を交互に眺めながら…。

「うーん?ふゆちゃんも、まさやも大好きだよ?」

「「えっ?」」
嬉しそうな顔の二人を他所に。夏樹は「おとうさんも、おかあさんも好きー。あとねー」とか嬉しそうに指折り数えている。
「ちょ…ちょっとまって!なつき、そういう好きじゃないんだっ」
どんどん知り合いの名前が出てくる夏樹に、待ったをするように雅耶が言った。
「そういう好きじゃないって…なに?」
本気で分かっていない様子の夏樹に、苦笑を浮かべながら冬樹が説明する。
「あのね、なっちゃん。ボクらが聞いてるのは、『れんあい』の好き…なんだ」

「れんあい…?」

本気で考え込んでいる夏樹に、冬樹は助け舟を出した。
「じゃあさ、なっちゃん。なっちゃんがカッコイイなぁって思う人はだれ?だれかいないかな?」
「かっこいい人?いるよ!」
この質問なら、素直な夏樹の気持ちが聞けそうだ。
冬樹と雅耶は顔を見合わせると、頷いた。
「だれ?だれがカッコイイとおもうんだ?なつき?」
焦りを見せる雅耶と、静かに答えを待つ冬樹に。
夏樹は「それはだんぜんっ!!」と人差し指を立てて嬉しそうに笑った。
「「…だんぜんっ?」」

「空手のなおずみ先生だよー♪」

その、思わぬ強敵の登場に。
雅耶も冬樹も石化するのだった。




にゃはは。夏樹の初恋のお相手は「もしかしたら直純」説。(笑)



あの子の好きなひと 前編
【ツインクロス】過去、幼少期。番外編
[登場人物]冬樹、雅耶



「オレ…実は、なつきのことが好きなんだ」

不意に緊張気味に話し出した雅耶の、その思わぬ内容に冬樹は面食らった。

「えっ?そうなの?まさや。それって、もしかして『れんあい』なイミで?」
「うん…。なつきにはナイショだぞ」

頬を染めて恥じらう幼馴染みに。
やはり、身体つきも自分たち兄妹より一回りも二回りも大きな幼馴染みは、そういう心の面でも先に大人になって行くのだろうか。
冬樹は、ほんの少しだけ置いてけぼりを食らったような気持ちになった。
だが、何より相手は自分の妹である夏樹だ。
ここは相談に乗ってあげるべきだろう。

「それって、まさやの『はつこい』?」
「モチロン。こんな気持ちになったの、オレ初めてだもん。ふゆきは?そういう人いないの?」
普通に聞かれて。
「いるわけないよ。だって、まだよく…分からないもん」
「…そっか」
だいたい、いつも雅耶と夏樹と自分の三人でいるのだ。他の人に目が行きようもないような気がするのだが。
(ボクもなっちゃんのこと大好きだけど…。でも、そういうのとは、きっと違うんだろうな…)
やはり良く解らなかった。

「でもさ…なつきは?だれかのこと好きだったりするのかな?ふゆきはそういう話とか聞いたことない?」
「ええっ?なっちゃんのッ?」
聞いたことは勿論、そんな人がいるなんて考えたことさえなかった。
「うーん…。どうだろう…?」
大切なあの子に、そんな人がいるのだろうか…。
何だか聞くのがこわいな…と思う冬樹だった。



ちびっこ時代の恋バナ。(笑)
次回、後編に続く~♪




報復の魔の手 後編
【ツインクロス】【プリズム!】後日談。番外編
[登場人物]夏樹



薄暗い倉庫内。
目隠しを外されると、夏樹はぼやける視界のままに周囲を確認した。

「ふゆちゃん…。ふゆちゃんは何処っ?」

必死に兄の姿を探す美しい少女の様子に、男たちはニヤニヤ卑下た笑いを浮かべた。
「焦るなよ、お嬢ちゃん。お兄ちゃんなら、これから来るからさ」
「そうそう、あんたを助けに…ね」
制服のまま床に座り込んでいる夏樹を取り囲むように、五人の男たちが見下ろしている。
「アイツらには大きな借りがあるんだ。悪いがあんたを有効活用させて貰うぜ」
「……っ」

夏樹は現在の状況を把握するために、頭をフル回転させていた。

こいつらは、どうやら並木や冬樹に恨みを持つ者たちらしい。
(ヤバいな…失敗した。私が捕まったことで、ふゆちゃんたちを不利な状況にしちゃったみたいだ…)
バイトが終わって家へ向かう途中、突然後ろから突き付けられた拳銃。
偽物かな?とも思い、一か八か暴れて抵抗してやろうかと思った所で、「兄貴がどうなってもいいのか?」…という脅しの言葉に思わず動きを止めてしまった。
確かにふゆちゃんは、今危険な仕事を手伝っている。
きっと、様々な恨みつらみをその身に背負ってしまっているに違いない。
これについては全てが逆恨みだけれど、だからこそ、こういうこともあるのかもと思ったのだ。

(だけど…逆に自分のせいで、ふゆちゃんたちを危険な目に合わせるのだけは、絶対イヤだっ)

何とか抜け出してやる。夏樹は意を決した。
幸いなことに、男たちは夏樹を普通のか弱い女の子だと思っているらしい。
手足を縛られたりはしておらず、身動きは何も制限されていない。

(気をつけなきゃいけないのは、さっきの拳銃…)

こいつらが、どんな集団かは分からない。
もしも、組関係や何かだとしたら、それが本物だということも有り得るのだ。

(でも、逆にあれが本物なら、尚更このまま大人しく言うことを聞いてる訳にはいかないっ)

「それにしても、あんた綺麗な顔してるね。兄貴は双子なんだろ?やっぱり似ていたりするのか?」
一人の男が膝をついて夏樹の顔を覗き込んで来た。
どうやら、素性を調べただけで冬樹の顔までは知らないようだ。

(…そんな面識さえない奴に、ふゆちゃんを恨む権利なんかない)

夏樹は俯いたまま口の端に笑みを浮かべると、拳に力を込めた。



肝心なところは逃げちゃいました。(苦笑)
この後、夏樹が例のごとく大暴れします。
その辺も、またの機会があれば書くかもです~




報復の魔の手 前編
【ツインクロス】【プリズム!】後日談。番外編
[登場人物]並木、冬樹、(夏樹)
 


バタンッ

事務所のドアが勢い良く閉まる音が聞こえて、パーティション越しに振り返った冬樹は、そこに並木の姿を捉えると笑顔で声を掛けた。
「お疲れさまです!並木さんっ」
だが…。

「悪い、冬樹。ヤバイことが起きた。嫌な情報が入って来たんだ」

普段とは違う険しい表情を見せている並木に、自然と冬樹も不穏な空気を察して表情を引き締めた。
「嫌な情報って…。いったい、何があったんですか?」
並木は、硬く険しい表情のまま一呼吸置くと、冬樹の目を真っ直ぐに見つめ、意を決したように語り出した。

「先日、俺らが上に引き渡した奴等の残党が、まだ何処かに残ってたみたいなんだ。それで、俺らのことを相当恨んでるらしくて、アイツら卑怯な手に出てきやがった」
並木は、自分の左掌を右拳でパンチするようにバチッ…と打ち鳴らすと、悔しげに舌打ちをした。
「…卑怯な、手?」
「ああ…。アイツら、俺らの身内を調べたらしくて…」
「えっ?…それって…」

冬樹は、嫌な予感しかしなかった。
並木には身内はいない。天涯孤独の身なのだと聞いている。

ならば…?

「悪い…。夏樹ちゃんがさらわれた」
痛々しげに目を伏せる並木の言葉に、冬樹は驚愕した。

まさか。
そんな…?

(…なっちゃん!!)


to be continued



夏樹の誘拐率高過ぎ。(笑)
馬鹿の一つ覚えで、すみません。
でも、好きなんだもの~
次回、後編に続きます♪




伝説の男
【ツインクロス】番外編 エンディング前
[登場人物]冬樹(夏樹)、雅耶、長瀬



「そう言えばさー、冬樹チャンって中学時代荒れてたんでしょ?何か入学早々学校の番格の奴に呼び出されたって言うじゃん。それって、その後どうなったの?」
「……は?」

毎度のことながら、長瀬の突拍子のない話題の振りに。
「何だよ、それ?どこからそんな話、仕入れてくるんだ?」
何処かにツテか何かあるのか知らないが、そんなどうでもいいことに対しても無駄に情報収集能力を発揮する長瀬の好奇心には呆れを通り越して尊敬さえする。(…嘘だけど)
「にゃはは、企業秘密♪」
得意気に笑う長瀬と、その横で過去の話なのに何故だか心配顔の雅耶。
「そんなの聞いてどうするんだ?別に面白いネタなんかないぞ」
「いやー、実はさ。その話聞いた時、俺は冬樹チャンがボスをやっつけて世代交代したんじゃないかって予測してたんだ。雅耶は、それはないって否定してたんだけどさ。実のところ、どうだったのかなー?って気になってたんだよね」
「世代交代って…お前ね。流石にそれはないよな?冬樹?」

(別に、過去のことなんてどうでもいいのに…)

そんなことがあったことさえ忘れていた位、オレにはどうでもいい話だったけれど。
何故だか、やたら答えを聞きたがっている様子の二人に。
仕方なく素直に答えてやることにした。

「…別にどうもしない。呼び出されて、ムカついて、全員伸してやった。それだけだよ」
「………」
「おおっ!やはりワイルドッ!」
嬉々としてる長瀬と、絶句してる雅耶。
やっぱ、聞いても仕方なかったネタだろ?

だけど、長瀬がまた身体を乗り出して喰い込んで来た。
「それでそれでっ?その後は、どうしたのさ。ボスは大人しく引き下がっちゃったワケ?」
「いや…。その後、随分と根に持たれて毎日散々嫌がらせ受けたんだよな…」
「嫌がらせ?まさか、懲りずに喧嘩売られたとか?」
雅耶が痛々し気に聞いて来る。

「いや、喧嘩じゃなく…告白?」

「は…?」
雅耶が固まった。
長瀬は…何処か嬉しそうだ。

「最大の嫌がらせだろ?図体の大きな強面の奴に毎日待ち伏せされてさ。ふざけんなっての…」
思い出したらまたムカついてきたのか、冬樹はブツブツ文句を言いながら、先を歩いて行ってしまった。


「…な、冬樹チャンの言ってたアレって…。絶対嫌がらせじゃない、マジなヤツだよな?」
「あー…だろーなぁ…」
「ある意味、伝説作っちゃったんだねェ。冬樹チャン…」
「ははは…笑えないよな…」

番格の三年生の不憫さに同情する、二人なのだった。